【主犯とみられるカミンスカス容疑者、12月19日に二か月ぶりに身柄拘束】
「積水ハウスがなりすまし犯により63億円をだまし取られた」
耳を疑うようなニュースで、犯行は地面師によるものだということをテレビの情報番組は伝えていました。地面師とは何なのか。積水ハウスという大企業を騙すその手口とはどのようなものなのでしょうか。防ぐ手立てはなかったものでしょうか。既に支払ったという63億円は戻るのか?もし戻らなかったら保険は効くのか?
積水ハウスはなぜ契約をいそぎ、急いでほとんどの部分を急いで支払ってしまったのか。イロイロ不可解な今回の事件の中、表ざたになっている地面師について調べてみました。
目次 Contents
積水ハウス地面師(じめんし)詐欺被害63億円事件の概要
事件が明るみに出されたのは積水ハウスから届いた1通のプレスリリースからでした。その内容は、次のようなものでした。「当社が分譲マンション用地として購入した東京都内の不動産について、購入代金を支払ったにもかかわらず、所有権移転登記を受けることができない事態が発生いたしました。顧問弁護士と協議のうえ、民事・刑事の両面において鋭意対応しております」
JR五反田駅から徒歩3分、広さも約600坪あるもと老舗旅館であった都内有数の一等地で、坪単価1000万円はするというその土地を2017年の春、所有者になりすましたA子という女性が、ブローカーを通じて積水に約70億円で売りたいと持ち掛けてきたところから事件は始まります。これに積水は飛びつき、取引は、4月に手付金の15億円が、6月に48億円が、M美→IKUTAホールディングス→積水ハウスという形で支払われました。しかし、いざ積水が所有権移転登記をする段になって、書類が偽物であることが発覚。M美も偽者だったことが分かった、というものです。積水が騙されたことに気が付いたときには、代金は支払い済みであり、M美は姿をくらましていました。取引の間に入ったIKUTAホールディングスも、登記上の所在地に事務所もない会社だったのです。
地主さんが、2016年の時点で土地の売買について信頼できる知人に相談したところ、地面師グループにその情報が流れてしまっていたのだということです。
地面師とは
「他人の所有地を利用して詐欺を働くもの」
これを地面師というようです。
土地取引の詐欺師、地面師は一人ではなくグループでストリーを作成し配役、偽造グループとつながって大がかりな詐欺を働くといいます。元地面師に寄れば、都内に200ほどのグループがあるそうです。本業は不動産業者であり、5億を超えるような案件でうごめきだすのです。今回の事件は一番上とつながらないので全容を解明するのはなかなか難しいのでは、といいます。
■首謀者
詐欺のストーリーをつくるプロデューサー。積水ハウス事件で一人は逮捕、ひとりは国外(フィリピン)逃亡中。逃亡前のインタビューでは「自分はあの女に騙された」と言っている。カミンスカスと名乗るが、小山という名の生粋の日本人であり、前科を消すために改名を行っているということです。嘘と見破られない話術と真面目そうな外見を持っているので信用されやすい人物だといいます。車はロールスロイス、服はルイ・ヴィトンを身に着けているのだそう。前もってフィリピンに詐取したお金を知人に運ばせている疑いが浮上しているといいます。カミンスカス容疑者を知る元地面師に寄れば取り分は半分ぐらいではないか、との話。(10/18時点)
■不動産グループ
売主側の不動産会社として、地面師で知られる男女二人が逮捕されている。
■連絡係
相互の連絡役。逮捕
■運転手
移動時の運転手役。元々よく知られる暴力団のNO2だった父をもつ男で、逮捕されている。
■手配師
首謀者が描いたストーリーの配役につかえる人間をスカウトする。特に成功には「なりすまし役」の選定がカギを握る。手配師がリクルートする人物像は次のようなものだという。
①かつてはそこそこいい暮らしをしていた(大地主の雰囲気をもっている)人。元芸者や温泉街の中居の中年女性など
②何らかの事情で身を隠して清掃の仕事などをしている前科のない男女
③身元が分かりにくい人物
以上のような人物をリクルートする手配師として女が逮捕されている。
大がかりな手配師のグループが温泉街にいるといいます。人当たりの良い中居さんなど、人材に事欠かないという事です。
■なりすまし役となりすまし役の監視役
なりすまし役は地面師による面接を受けて「採用・不採用」が決まる。面接では、記憶力や話し上手かどうかをテストされる。そしてなりすまし犯の指の腹にマニキュアを塗り、書類等に指紋などがつかないようにする。なりすまし役の報酬は今回の場合1,000万円から2,000万円ぐらいでは?とは元地面師の弁。
※今回のなりすまし犯は誕生日や干支を間違えるなど、ズサンであったという。それでも契約を進めた積水ハウスって・・・?この疑問については、「以前にもあまりキツク指摘して話し合いを打ち止めにしたことがある地主。あまり指摘しないように」との事前耳打ちがあったようです。
■地面師がかかわる物件を探す担当
5億以上の案件を探してくる。
■偽造グループ
偽造パスポート、偽造印鑑証明書など。
※今回のパスポートは実際になりすまし犯がパスポートを申請し取得したものだとしている。新たに作ったパスポートをつかって印鑑証明を作成し、複数の通帳など必要書類を偽造した疑い。しかし、権利書はカラーコピーだったそうで、プロならば見破るとか。「ニンベン物件(偽造)」だということがすぐにわかると。
多くのキャストと舞台セットを周到に用意し、大きなお金を詐取します。
この地面師グループは、積水ハウスのほかにも話を持ち掛けていたようで、その一社は面会の時のビデオを撮影していました。そこに写ったM美容疑者は黒っぽい地味な服装で、本当に裕福な地主さんの雰囲気を醸し出していました。けれども、疑っていたというか証拠を残すためでしょうか、撮影していたという事です。
積水ハウスには4通の内容証明文書にて今回の犯罪をにおわす内容のものが届いていたとのことですが、それを土地争奪戦のライバルの妨害行為だと勘違いしたようです。積水ハウス側にもいろいろ不審な点も見られます。この現場には社長自ら足を運んで「行け」となったようです。社長案件ということで、チェック機能が働かなかったのでしょうか?
それに土地登記前に契約の9割を支払ってしまったなどということは、ふつうはあり得ないのではないでしょうか。普通の判断力やチェック機能を解除させてしまう、それが地面師の業なのかもしれません。
今回は地面師の仕事が”破られた”ケースとなるわけですが、今は亡くなっていると言われている元地主の執念が、悪徳地面師から当地を守ったという事なのかもしれません。それにしてもま〇けなのは、金銭的に最大の被害者である積水ハウス。プレスリリースし、恥をされしてでも悪を懲らしめたい。社会的に抹殺したいという強い意図があったのでしょうか。
63億円(55億強)は戻るのか?これまでの事例
事件からすでに1年以上たって正当な資金化されていますし、億ションを買う、車を買う、女性を囲うなどもう随分使われているという話もあります。
今回のような詐欺集団による大掛かりな仕掛けの詐欺犯罪の場合は、詐欺集団のメンバー個々の役割を振り当てられ、ストーリーの一部として働いています。そのため、全容を知る者は極限られた一部の人間のみであり、実際に被害者と接触する人物は中には自分が詐欺の一端を担いでいることさえ気づかない場合もあるということです。
詐欺で集められ、吸い上げられたお金は段階を経て合法的な収益とされて収まってしまうのです。マネー・ロンダリングといって、出どころの不確かなお金を、架空会社や海外を経由することで、正当な手段で得たお金に替えるので、資金洗浄といわれるものです。そうした”収益”で税金を納めていることもあります。
そのようにして使われてしまったお金ははたして戻ってくるのでしょうか。何人かの弁護士が共通して言っていることをまとめてみましょう。
■刑事事件として刑罰を受けた場合
詐欺事件で刑事事件となった場合でも、罪を暴き刑罰を与えることはできても警察が強制的にお金を返還させることはできないそうです。ですから、「犯人が捕まった=お金が帰ってくる」という事ではないのです。被害者は「不当利得返還請求」という民事裁判を起こし、返してもらうことは正当であるという請求権をもっていることを公に認めてもらう行動が必要になります。
■民事裁判をおこせば全額戻ってくるのか?
民事裁判を起こしたとしても、加害者がそのお金を遊興費や生活費としてで使ってしまった場合、そこに返済能力はありません。お金は手元になく返せないので、結果として被害者は泣き寝入りになります。詐欺によって取られたお金は、結果的に戻ってこない率の方が高いようです。
詐欺で大金を失った被害者を救済策はある?
■振り込め詐欺救済法
例えば、手口を変えて後を絶たない「振り込め詐欺」の被害者救済策として「振り込め詐欺救済法(犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律)」が平成20年6月から施行されています。この法律により、金融機関は被害者が振り込んだ口座を凍結(利用停止)し、被害者からの申請によりその被害額や凍結された口座の残高に応じて、被害額の全部または一部を被害回復分配金として受けることができます。被害にあった人は、まずは警察に、その後速やかに振込先の金融機関に連絡し、凍結手続きをする必要があります。
■示談交渉
刑事事件になることを恐れた犯人が、返還請求に応じることもあると言います。しかし、今回のようなケースではすでに刑事事件となっており、犯人は資産凍結されるにせよ、63億円がまるまる戻ることは難しいというのが専門家の意見です。
ということで、詐欺にあわないよういくつものチェック機能をもち防ぐことがとっても大事になります。五反田の元女将は一説には拉致されていたともいわれますし、今はすでに亡くなっているそうですが、最終的にはこの女将の執念が不正な取引を明るみに出させたとも言えますね。
東京オリンピックを控えた世界都市の一等地をめぐる薄よごれた地面師や大企業の思惑が行きかうその土地が、浄化する日は来るのでしょうか。
”地面師”などと土地ころがしのプロという意味なのでしょうが、地相は悪くなる一方でしょう。
今回は大きなお金が動く土地に関する詐欺のお話ですが、一般人にも注意喚起をする事件だと思います。ということで、警視庁が出している「特殊詐欺対策」を上げておきます。
警視庁による「特殊詐欺対策」
■最近の傾向
最近、「法務省管轄支局民事訴訟管理センター」、「法務省管轄支局国民訴訟通達センター」などの名称で、「消費料金に関する訴訟最終通告のお知らせ」などと題したはがきを送りつけ、最終的に金銭をだまし取るという被害が発生しています。
首都圏を中心に「還付金」名目のキャッシュカード手交型詐欺が増加傾向にあります。金融機関職員等が通帳やキャッシュカード、クレジットカード等を受け取りに行くことはありません。カードは絶対に渡さず、暗証番号も絶対に教えてはいけません。
平成30年7月豪雨に関連した詐欺も増加中。
【こんなドラマ、やってましたね】土地売買の大がかりな仕込み詐欺の話もありましたっけ
【信用詐欺師とは】『コンフィデンスマンJP』不二子とダーコ、どちらに盗まれたい?
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返せない分を負債として犯人に課すことはできないのでしょうか?
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コメントをいただきありがとうございます。
詐欺事件の犯人に対して返済を求めるのは当たり前のことです。
相手を信じたことへの裏切りを、簡単に許すことはできません。
表面的なことだけではなく、心情的にもトラウマとなり人を疑うような
心根を抱いてしまうことへの慰謝料だってほしいくらいです。
泣き寝入りとならないために、詐欺事件の犯人に対する返済請求が可能かどうかを
無料で調べてくれる弁護士もいるようですので、専門家に相談することで何らかの解決法が
見つかるかもしれません。