共働き家庭の子育てをジジババとして見守る「孫育て」が話題になっています。パパママ世代の「子育て」とジジババ世代の「孫育て」の違い「あるある」「ちょっと心配」という事実までたくさんたくさんありますよね。ここでは、現代のパパママの「子育て」とそれを見守るジジババとしてのあり方について考えてみたいと思います。
目次 Contents
現代的子育ての環境と傾向
第一生命保険研究開発室による調査によれば、子育て中の母親の実態として次のような傾向が浮かび上がっています。
母親多忙化
出生率が低下して子どもの数が減ってきました。大学卒業後何年かをある程度自由に過ごしてきた女性が、子どもを持つことで仕事の選択、家事育児に自由時間をとられるなどで、家電製品や育児関連製品の進化に伴い時短する面もありながらどんどん多忙になっています。
少子化により、ひとりの子の習い事は増え費やす教育費は膨らみ、アッチのレジャーランドこっちの水族館など子どもを連れて出かける場所も多様化しています。子どもに豊かな経験をさせてやりたいために出かける計画、家に帰ってからの世話、と母親ばかりがどうしても多忙になりがちです。
対人関係の希薄化・母親孤立化・ワンオペ育児
育児のために母親が仕事を辞める場合、母親の社会との接点は公園や保育園や習い事の「ママ友」になることが多いでしょう。
狭い部屋に母子二人が密着する24時間育児は、母親にストレスをもたらします。そういう時に「ママ友」が救いになりますが、「ボスママ」の支配下に置かれたグループに接触した場合は「ママ友」自体がストレスになり得ます。子どもを人質に取られたような狭い社会の中で、身動きが取れない母親の孤立化が問題になる場合もあります。そうしたストレスから虐待や育児放棄などが起きる一因ともいわれます。
父親か母親のどちらかが育児に非協力的な場合、離婚していなくともひとりで育児を行っているようなケースもあります。
核家族化・家庭の子育て機能低下
仕事場が都市に集中し、核家族化が進んだ上に、共働き家庭が増えて、家庭の子育て機能が低下し、子どもの教育全般を学校に責任転嫁する風潮が生まれたともいわれています。モンスターエアレントの登場で教師は精神を病むケースもあり、学級崩壊という言葉も出るようになりました。
また、近年大人になってから「発達障害(ADHD、LD、吃音、アスペルガー等)」と診断されるケースも増えており生きにくさを抱えながらの子育てに苦労するケースもよく見られます。
ジジババにとって孫とは”生きがい”か?
この少子化時代に子どもを産んでくれること。それだけでもありがたいことだと思います。
できちゃった婚でも、シングルでも、子どもを生んでくれることがありがたい。そう思うジジババもこの世の中たくさんいます。
特に娘の親であるジジババは「孫だけでも欲しい。子どもだけ生んでくれたら結婚するかどうかはどっちでもいいので娘には子どもを生んでほしい。子どもは私たちが育てるから」と。ここ20年ぐらいの間に、そんなジジババの声を聞くことが周囲でもほんとうに多くなりました。
「孫がかわいい」のはなぜなんでしょう。
それは、自分の子どものときのように”100%の責任”が肩にかからないからですね。
自分の子どもには、良くも悪くもずいぶん力が入るものです。ジジババの役割はある意味、力みすぎの親の子育てからの”逃げ道”です。
逆に、親が何のしつけもしない場合は、ジジババが生活のしつけを担うこともあるでしょう。
子どもを取り巻く空間を、窮屈でない広い空間にするのが、ジジババの孫育てに期待されるところではないかなと思うのです。
猪突猛進的に育児に取り組んでいた私自身の経験上、笑って育てるジイジやバアバの存在は子どもにとって本当に救いになったと思います。
多忙な母をジジババはどう見てる?
フルタイムで仕事をしているママが多忙である事は、理解しています。
仕事が終わて子どもを迎えに行き、買い物をして、遅めのご飯を食べさせお風呂に入れて、洗濯物を干して一息。という風に頑張っているママを見たら、保育園の送り迎えやせめて子供の夕飯ぐらいは用意して食べさせてあげようか。という気にもなるでしょう。
でも、正直言って「いつもはイヤだわ」「長時間は疲れるわ」「私だってやっと子どもの手が離れて時間を自分のことに自由に使えるようになったのよ」「2~3歳になると妙なことで”頑固”を出してきてほとほと困る。ウチの子ってこんなんだったっけ?」「可愛がってやっても、かばってやっても子どもは結局親のところに帰るんだから、用なしになれば冷たいものよ」という声もチラホラ。都合のいいように使われていることを知りながら、やっぱり自分たちだって親がかりで子育てしてきた、ならば、少しでも力になろうということは思っているでしょう。順送りですからね。
パパママ世代の育児ルールをジジババはどう見てる?
ジジババ世代は学歴社会に生き、母親は専業主婦だったケースも多いのではないでしょうか。教育ママの先駆けで「勉強しなさい」「塾へ行きなさい」「ピアノを習いなさい」と言われて育ったかもしれません。その影響で自ら教育熱心か、もしくはアンチ教育かもしれません。
厳しすぎる母親の弊害が「母源病」「モンスターマザー」など問題化するケースもあります。
「そんなに厳しくしなくても・・・」「子どもが可哀そう」「自分のことを棚に置いて良く言うわ」とジジババが思っても、昔の姑のように小うるさく口に出して言ったりすることはあまりないと思われます。
「アメはまだ食べさせない。」
「チョコレートはダメ。」
「虫歯が移るから他の人の食器を使わせない。」
「マーガリンやショートニングの入ったお菓子を食べさせない。」
そういうルールをパパママ世代が持っていればそれは同じように扱いますが、「でもハンバーガー屋さんのフライドポテトや、スナック菓子とか親がジャンクフード大好きなくせに説得力無し」とは思ったりしています。
孫育ての注意点
孫育ての注意点についてピックアップしてみましょう。
孫を育てる時に、言ってはならないのは「パパママの悪口」
孫を見ているときにしつけの悪さが目に付くとき「どうしてこんなことができないんだろうね!親がきちんとしてないからでしょ」などと、直接言うことを遠慮している代わりに孫の前で愚痴ってしまうこともあるかもしれません。でも、1歳にならない子でもちゃんと聞いています。
子どもは、知らず知らずのうちに影響を受けて、意味も解らずその言葉で親に対して反撃することがあるんです。
体力的に低下していて子どもについていけないことをわきまえ安全確保
子どもは、ひとりであればそれほど無茶はしないことが多いのですが、歳の近い兄弟などがいる場合は連れだって走って行ってしまうこともあります。道路への飛び出しや、危険な遊具に近づいても、ジジババが追いつけなくて制止できないことも起こりえます。
大きい子の方が小さい子を危険な場所に連れて行ってどうにもならなくなっても、迎えに行けない遊具もあります。
ジジババ自身を守る意味でも、子どもの危険な行動に関する「お約束」は一貫して何度も伝えて守らせましょう。
物を投げる、長いものを振り回す、走ってはいけない場所で走る、飲食してはいけない場所での飲食、横断歩道のルールなど、その都度教えます。
子育てのルールはパパママ、ジジババとも共有する
パパママがどういうルールを子どもに守らせているのかを知ることはとても重要です。パパママが「ご飯の前には必ずトイレに行かせる」というルールをつくっていたとして「そんなの、出ないモノはでないよな」などと否定してしまったら角が立ちます。
「アメを与えていない」とパパママがいうのに、与えてしまうとこれまでのルールが成り立たなくなります。生活習慣をしつけることは両親にとっては骨の折れる仕事ですが、その努力を無視することほど相手を気づ付けることはありません。できるだけパパママの作った子育てルールを尊重するというスタンスでいきましょう。ジジババの持っている価値観や考え方を押し付けないようにしましょう。
明らかに間違ったルールをつくっていたとしたらどうしましょうか。
「大盛り過ぎるご飯を全部だべなかったからおやつはなし」ルールは妥当でしょうか?
ご飯を食べないのにおやつばかりを食べたがるのを制止するルールは悪いとは言えませんが、おなかに入りきらないほどの大盛ご飯。しかも、昨日の残飯を、残したからとそのまま食べさせるのだとしたら、それは少し躾とは違うのでは?と思います。
こどもが食べ残して、食が進まない場合「おいしくしてあげようか?それなら食べられるかな?」と私の場合は声をかけます。だいたいはそれで完食してくれます。
衛生観念の今と昔
とにかく消毒・殺菌ばやりで、やたらと殺菌
洗剤が出回っている現在です。昔の感覚とは本当に比べ物にならないぐらい「抗菌」を求めるのですね。
「まだ、布巾でテーブル拭いてるの?」なんていうCMなど、昔の感覚と今の除菌感覚との違いがよくわかります。
病気や食中毒を起こさない程度の衛生管理はしたいですね。
パパママ世代からジジババ世代には直接言いにくいこともある
「何でも分かりあっているつもり」「オープンなつもり」でもやはり年長者に言いにくい注意事項や止めてほしいことはあるでしょう。直接言ってしまったら角が立つし、関係が悪くなってしまったら困るし・・・と若い世代が困っていることもあると思うのです。逆に、ジジババが遠慮していることだってあるのだと思います。そういう時に第三者的立場から遠回しに伝え合っこするというのも手ですね。
息子夫婦に言いたいことを、娘にそれとなく伝えておく。
逆の場合は、息子夫婦が親に言いたいことを妹に伝えてもらう、というように。
交換日記のようなものも面白いコミュニケーションツールになるかもしれませんね。
基本スタンスとしては「でしゃばらない」こと。パパママから頼まれたら出番です。
孫育て丸わかり『祖父母手帳』が大反響
平成27年さいたま市の『祖父母手帳』初版が発行されました。親や祖父母から愛情に包まれて「子どもたちが健やかに成長してほしい、幸せになってほしい」という願いを込めて作られたと言います。
子育ての今と昔が対比になっていて見やすく、祖父母、パパ・ママの声や、気遣いが欲しかったことも参考になります。抱っこ、ミルクの作り方、オムツのやり方など具体的な方法も掲載され反響を呼んでいます。その内容からピックアップしてみましょう。
お互いにいいことがいっぱいあるよ!
ジジババにとっての孫育てのメリット
■刺激を受けて元気になる
■孫育てを通じて地域とつながる
■生き甲斐が増えてセカンドライフが充実する
孫にとってのメリット
■より多くの愛情を受け情緒が安定する
■他者への思いやりや理解が育まれる
■様々な価値観を経験したり、知ったりできる
親にとってのメリット
■子育ての不安やストレスが軽減される
■余裕をもって子供と向き合える
■子育てのと仕事の両立がしやすくなる
「嬉しかったこと」「気遣いが欲しかったこと」
ジジババの意見(うれしかったこと)
■「ありがとう」「たすかった」との感謝の言葉
■人生の先輩として助言を求められた
■おけいこごとの発表会や旅行、お花見に誘ってもらえた
ジジババの意見(気遣いが欲しかったこと)
■「時代が違う」と否定された
■聞き流された
パパママの意見(うれしかったこと)
■病院に行くとき預かってくれた。よく遊んでくれる。急な残業のとき預かってくれた。
■子どもの個性を認めてくれる。「赤ちゃんは泣くものだから」と言われ楽になった。
■いたわってくれる。上手に育ててるね。子どもはみてるから二人で出てきていいよ。
■孫に会うたびデレデレになっている姿
■成長を一緒に喜んでもらえる
■ママやパパが大好きだね
■食事の用意をしてくれた
■話し相手になってくれる
パパママの意見(気遣いが欲しかったこと)
■子育て論を押し付けてくる
■パパママの子育て方針をまず認めてほしい
■母乳が足りないんじゃない?母乳がよくないんじゃない?
■離乳食がおいしくないんじゃない?
■自分の使った箸でご飯を上げようとする
■毎週会いに来る
■勝手に買い与えて得てしまう
■写真やメールを催促される
ここが変わった!こそだての昔と今
■だっこ/抱き癖がつくと言っていたのは西洋文化が”憧れ”だった外来育児世代。「自己肯定感や人への信頼感を作る」と分析されるようになる前から日本では抱っこしていたと思いますけど。
■授乳/「だいたい3時間おきにおっぱいを上げてください」とは言われた。今は赤ちゃんが欲しい時にあげましょう。
■卒乳/昔は1歳前に「断乳」することをススメられていた。けど育児雑誌で「4歳ですがまだオッパイを飲んでいる」という相談者がいた。今は赤ちゃんが自然に離れていくまで上げていい。
■うつぶせ寝/頭の形がよくなるなどで、筆者の子どもたちはうつぶせ寝。乳幼児突然死症候群から守るために、今は必要な問い以外仰向け寝が推奨されている。
■離乳食/味馴らし、スプーン馴らしの目的で果汁やスープを与えることが3~4カ月時点で進められていたが、ミルクの量が減ったことで栄養不足や発達障害の可能性が報告されている。スプーンなどの使用は5か月~6か月からでよい。
■虫歯予防/虫歯は大人の口から虫歯菌が移ることがわかってきた。お箸などまわし使いをしないこと。
■おむつはずれ/3歳に保育園や幼稚園に入る前にオムツが外れていることは普通だったが、今は自然に子どもの時機を見て「おむつはずれ」
事故から孫を守る
■キッチンの危険
炊飯器やポットは手の届かない所へ
流しの下に包丁や洗剤など危険なものを置かない
■リビング・寝室
タバコ・灰皿・ライターなどは手の届かないところに置く
ソファーなど高い所に寝かせない
ベビーベッドは柵を上げておく
コンセントは関電防止キャップをつける
アイロンは置きっぱなしにしない
口に入る小さいおもちゃは与えない。お金やクリップゴムなど置きっぱなしにしない
テーブルの角にはコーナーキャップをつける
■階段
階段の登り口、降り口に柵をつける
■バスルーム
浴槽や洗濯機に水をためておかない
蓋はチャイルドロックをかけられるものを選ぶ
洗剤・化粧品・薬は手の届かない所に置く
■ベランダ
踏み台になるものを置かない
■車
必ずベビーシート、チャイルドシートに座らせる
走行中は必ずドアロックする
車のそばにいる時は目を離さない
■自転車
自転車に乗せたまま離れない
シートベルトを着け、ヘルメットをかぶせる
■公園
首周りにフードやひもがついたものを着せない
肩掛けかばんやマフラーは外す
目を離さない
孫と一緒に遊ぶ
■読み聞かせ
寝る前などに読み聞かせ、文字が分かるようになると自分で読むようになる。読書をたくさんする子は頭のいい子に育ちます。
■手遊び
ずいずいずっころばし、あがりめさがりめなど
■昔遊び
ぼっくり、おてだま、けん玉など
孫とお出かけスポット
■子育て支援センター
■プレイルーム
■絵本館
■図書館
■幼児の公園
など市町村に親子、祖父母と子が遊べる場があります。
孫育てに関する相談窓口なども各市町村に設けられています。
適切な関係をつくっておけば、孫にもパパママにもジジママにも楽しい暮らしができりでしょう
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