R・シュタイナーが提唱する教育方法はユニークなものです。
例えば、足し算の学習。日本で足し算は1+3=?2+4=?というドリルで練習しますよね。
シュタイナー学校の場合は、4=○+○というように覚えます。
答えは一つではなく、バラバラに存在する数を再統合するという脳を使います。
まず「全体像」が与えられ、全体像をいくつかのグループに分割し、再統合すると「理性」が育つというのです。
1+3=?で答えを導き出す時に使う脳と、4=1+3、あるいは4=2+2を導き出す時に使う脳が異なる部位だという事が、シュタイナーは霊的洞察により知っていたのですね。
そのようなシュタイナー派が『ゲド戦記』を非常に高く評価しています。
『メルヘン論』という本も出ているほど、シュタイナーはメルヘンを子どもの栄養分として大事なものだと位置づけています。人類の根源的な成長、真実などがメルヘンには豊富に含まれています。
『ゲド戦記』は1968年からアメリカの女優で作家のグウィンにより著されたファンアジ―で、2006年スタジオジブリがアニメ化しました。その作者が1月22日に亡くなったそうです。
目次 Contents
ゲド戦記 要約
影との戦い
ゲド(ハイタカ)の少年期の話し。
幼い少年ダニーが生後すぐ母親が亡くなって、父親にも半ば見捨てられゴント島で幼少期を過ごします。7才になったある日のこと、まじない師である叔母が山羊に向って唱えた呪文を覚え、ダニーが唱えるとたちまち山羊が集まるのを見て、叔母はダニーに備わった能力に気づき、魔法使いとして訓練を始めます。
12歳の時に帝国の軍隊に襲われたときダニーは「霧集めの術」で村を守ります。噂を聞いた大魔法使いオジオンがダニーを弟子にしたいと申し出13歳の成人後真の名である「ゲド」を与えられ島から出ます。
その後オジオンの勧めでロークの魔法学校に入り能力をさらに極めるが、奢り、慢心、傲慢と嫉妬から「影」を呼び出してしまいゲドは瀕死の重傷を追い、ゲドを守ろうとしたために死ぬ人まで出ました。
発達心理学に言う第二次成長期(反抗期)に見られる、人間が成長するときの起爆剤として、自らの第二人格(影)との強烈な葛藤と対決がなされるという、その物語。
こわれた腕輪
アチュアン神殿の大巫女テナー中心の物語。
テナーは名を奪われ地下神殿で大巫女として育てられる。自己を奪われたテナーのところへ二つに割られた「エレスとアクベの腕輪」を本来の場所に戻し、世界の均衡を取り戻そうとするゲドが現れテナーを救い出す。ゲドは影を追いながら死と対峙するが「勝ちも負けもしなかった」。しかし少女の名を取りもどし自己回復し地下神殿から解放した。
自己回復すると二つに分離した、自己と影が一つに統合される。
さいはての島へ
大賢人となったゲド。
アニメとなったのはここから。世界の均衡が崩れて魔法使いが次々と力を失う中、エンラッドから急を知らせて来た若き王子レバンネン(アレン)と共にその秩序回復のため、世界の果てまで旅をする。
帰還
旅から帰り、ゲドは魔法を失う。
テナーと暮らし、親に殺されかけたテルーと3人で暮らし始めるが、悪意や暴力が三人を襲い掛かる。全ての魔法を失った後に何が残るのか。
アスーシーの風
テルーと龍。テルーとアレンは二人で一体。
竜や異教徒のカルガド人によって、従来の正義であった「真の名」という魔法の原理への批判が行われ、これまで作り上げられてきたアースシーの世界観を根本から壊していくような物語のなかで次世代に引き継がれていくもの。
ゲド戦記とヤマタノオロチ対峙
ゲドは影との戦いに19歳からの人生を費やしますが、影とは荒魂であるともいえます。
正体がわからない衝動が「影」で、自分自身に襲い掛かります。
日本神話の中で荒魂の象徴は「ヤマタノオロチ」です。
ゲドの物語はスサノオの物語と「竜」が登場する面でもすこし似ています。
生まれたときから荒々しく、泣きわめき暴れて人々に迷惑をかけるスサノオは、クーデターの汚名をかぶりタカマを追放されてしまいます。父殺しのアレンのようでもあります。
やがてイナダヒメと出会って八岐大蛇と対決することになります。オロチはスサノオ自身の荒魂であったのです。
ヤマタノオロチを退治することによりイナダヒメと結婚できたスサノオは出雲の国を開くのです。
スサノオはヤマタノオロチを退治しましたが、その時剣を手に入れます。
そして死んだヤマタノオロチはスサノオによって丁重に祀られるのです。日本には「怨霊」「オロチ」も神として祀る慣習があります。そうして、オロチをも統合し力とするのです。
ゲドは影と一体化し統合しましたが、恐らく大陸的価値観では、「一体化」することはなかなかむつかしいものなのではないでしょうか。一つの朝廷が滅ぼされると滅ぼされた王族は悪として一人残らず殺され、文書は焚書してきたのです。「怨霊」はあくまで怨霊であり神にはなり得ない、という感覚がある文明はいつか潰えることは歴史上言える事ではないでしょうか。
縄文時代が1万年続いたワケが、ゲド戦記にもヒントが隠されている気がします。
竜蛇の姿で表現されることのある神様
テルーは龍神なのですね。翼竜で現れていますが。
日本には龍や蛇が本当の姿であるとされる神様がたくさんいらっしゃいます。
大己貴命( おほなむちのみこと)
大国主命(おおくにぬしのみこと)
田心姫神(たごりひめのかみ)
湍津姫神(たぎつひめ のかみ)
市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)
豊玉姫命(とよたまひめのみこと)
綿津見大神(おおわたつみのかみ)
吉備津彦命(きびたけひこのみこと)
タカオカミノカミ、九頭竜大神、八岐大蛇、八大龍王、黒龍、白龍、白蛇など祀る神社は数えきれないほど日本にはあります。
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