環境省が「名水百選」選定を始めて30年がたち、国民参加型の人気投票~名水百選30周年記念~「名水百選」選抜総選挙を2016年2月15日~3月13日まで実施されました。ウォータープロジェクトとしてインターネット投票を行った結果が2016年3月29日サイトで発表されました。
4つの部門でそれぞれ5位まで選定されました。
目次 Contents
観光地としてすばらしい「名水」部門
1位 「安曇野わさび田湧水群」長野県安曇野市
北アルプスからの雪解け水が伏流水となって湧き出しています。日量70万トンもの湧水量であり、真夏でも水温が15度を超えることはないそうです。清らかで豊富な水は、わさび栽培に用いられ、さらにわさび田からの排水を利用してニジマス養殖が行われています。国土交通省からは「水の郷」にも認定されている名水です。
宿泊施設やレストランなどが集まる「安曇野の里」からも水が湧き出しており、飲むことができるため、水を持ち帰る人の姿が見られます。
安曇野の里(あづみののさと)
場所/安曇野市豊科南穂高6780番地
アクセス/長野自動車道安曇野ICから車で5分
JR大糸線「柏矢町駅」下車、タクシー5分、徒歩20分
駐車場/有り
問い合わせ/商工観光部観光交流促進課(電話0263-71-2000)
ビレッジ安曇野(電話0263-72-8568)延命水(えんめいすい)
岩の隙間からいく筋もの清水が白糸のように流れ落ち、苔(こけ)の緑とともに優美な水景色を作り出している。水を汲む人の姿も。
場所/安曇野市堀金烏川
アクセス/ほりでーゆから四季の郷から烏川沿いに車で10分程度。(約4キロメートル)
問い合わせ/商工観光部観光交流促進課(電話0263-71-2000)
御種神社(おたねの水)
烏川の支流である小野沢の西岸にあるおたね沢の水源。小さな祠(ほこら)と、おたね薬師如来が祭られ、この水で目を洗うと眼病が治るといわれている。熊の出没には注意が必要。
場所/安曇野市堀金烏川(ほりでーゆから四季の郷手前、小野沢沿い)
アクセス/JR大糸線「豊科駅」下車タクシー約20分
問い合わせ/商工観光部観光交流促進課(電話0263-71-2000)満願寺(まんがんじ)の水
「信濃高野」とも呼ばれる真言宗の古刹。標高900メートルほどにある境内の湧水は多くの人に親しまれている。
場所/安曇野市穂高牧1812番地
アクセス/JR大糸線「穂高駅」下車タクシー約20分
問い合わせ/満願寺(電話0263-83-2088)杜江(もりえ)の水
碌山美術館敷地内にある井戸水。荻原守衛(碌山)が書簡などに記した「杜江」からその名が付けられた。
場所/安曇野市穂高5095番地1
アクセス/JR大糸線「穂高駅」下車徒歩5分
駐車場/有り
問い合わせ/碌山美術館(電話0263-82-2094)万水川付近・大王わさび農場(よろずいがわ・だいおうわさびのうじょう)
北アルプスの懐、安曇野穂高―万水川、蓼川、欠川の合流地点、三角島周辺は、北アルプスからの地下水が豊富で、この湧水を活用してわさび栽培やニジマス養殖が盛んに行われている。
蓼川横の大王わさび農場は、東京ドーム11個分もある日本一広いわさび畑。湧水をたたえる蓼川に回る三連の水車小屋など、安曇野の原風景が残っている。
大王わさび農場場所/安曇野市穂高1692番地
アクセス/長野自動車道安曇野ICから車で10分
JR大糸線「穂高駅」下車徒歩30分、タクシー10分
駐車場/有り
入場料/無料
問い合わせ先/電話0263-82-2118
2位 「塩釜の冷泉」岡山県真庭市
蒜山三座の真中、中蒜山(1,122m)の裾の谷間から突如湧き出た天然水です。
湧水は、東西12m、南北5m、面積約60m2のひょうたん池で、最深部は1.9m、湧水量は毎秒300リットル、水温は年中11度前後と冷たいことから冷泉という名がついています。
昭和60年には日本名水百選(環境省)に認定。地元塩釜奉賛会が中心となって管理し、今も変わらず村内の約600世帯の生活用水として受け継がれています。但し、源泉については現在は取水禁止です(水汲み場からの取水、お持ち帰りは可能です)。
蒜山三座のふところに広がる蒜山高原には、登山道だけでなくたくさんの散策スポットや牧場などもあり、サイクリングコースも整備されています。
塩釜の冷泉
場所/岡山県真庭市下福田305
アクセス/米子自動車道蒜山ICから車で20分
3位 「まつもと城下町湧水群」長野県松本市
平成20年6月に、まつもと城下町湧水群は環境省「平成の名水百選」に選定されました。まつもと城下町湧水群とは、松本城周辺地域に存在する数多くの井戸や湧水です。平成20年11月29日に行われた地域づくりフォーラム中信ブロック大会(地域づくりネットワーク長野県協議会松本支部主催)の一環で行われた水巡りウォーキングは徒歩で1時間30分のコースになります。水巡りコースを順にたどって行きましょう。
外濠小路(そとぼりこうじ)
ホテル花月の建物の間から階段を降りると、外濠(そとぼり)小路に続いています。水路はさらに、縄手横丁に続いています。ナワテ通り
松本城北門大井戸の水は、ここで女鳥羽川に合流しています。中町蔵シック館の井戸
大礼酒造の建物を移築復元した蔵シック館の建物は、ギャラリーや展示場として利用されています。
徳武の井戸
蔵シック館横の道に入ってすぐの徳武竹材店の敷地内にあります。御菓子処藤むらの向かいです。源智の井戸
多くの方が訪れる人気の井戸です。井戸水で入れたコーヒーを出すカフェもあります。
井戸に続く高砂通りには、古本屋や人形店が立ち並びます。中村眼科の湧水
源智の井戸の向かいにある中村眼科にも、湧水があります。(有)伊藤石材さんのデザインで、吸い込まれた水が別の石からあふれ、穴の中に落ちていきます伊織霊水
平成17年に復元されました。途中、きれいな水が流れる水路を見ることができます。妙勝寺の井戸
念来寺は廃仏毀釈により廃寺となり、鐘楼だけが妙勝寺の境内に残されています。鐘楼は松本市の重要文化財に指定されています。四季咲きの桜が11月にも花を愉しませてくれます。槻井泉(つきいずみ)神社の湧泉
この地域一帯を指す「清水」の地名はこの湧水にちなんでいます。湧泉とケヤキは松本市特別名勝及び特別天然記念物に指定されています。
神社創建は870年といわれ、ご祭神は弥都波能売神(みづはのめのかみ) 大山祇命(おおやまつみのみこと) 誉田別命(ほんだわけのみこと)
猿田彦命(さるたひこのみこと) 若宮八幡(わかみやはちまん)。『君の名は』の主人公の一人三葉(みつは)は水の神様「ミツハメ」から名付けられていました。そのミツハメをご祭神としている神社なのです。
住所/長野県松本市清水1-2
アクセス/松本ICから車で11分女鳥羽の泉
善哉(よいかな)酒造の店先にあります。鯛萬(たいまん)の井戸
以前、割烹料亭「鯛萬」があったことから名づけられました。鯛萬小路を抜けると、うら町に出ます。上土・下町会館東門の井戸
4位 「水前寺江津湖湧水群」熊本県熊本市
約27万年前からの阿蘇火山の度重なる大噴火で形成された地層により、阿蘇外輪山の西麓に降った雨は、地下水となって熊本市の地表に湧出する。その中でも最大のものが江津湖の源となる水前寺から江津湖周辺の湧水群です。
約2300年前、水田稲作が日本に伝来して、弥生文化の時代となりました。熊本地方では、初期の稲作を身につけた人々が、託麻台地端の湧水地帯をいちはやく水田として利用するようになりました。後に、その遺跡は江津塘を築くことによって湖水面下に沈みましたが、江津湖の発掘調査や浚渫で、弥生時代初期の土器や石器が発見され、下江津湖湖底遺跡(苗代津遺跡)とよばれています。古墳時代の遺跡は、下江津湖の北岸の水源地から広木にかけて、周溝墓と呼ばれる墓が発見されています。
現在の江津湖は、元来豊富な地下水量がもたらす湧水が湿地帯を形成していた場所に、江戸時代、加藤清正が堤防(江津堰)を築いたことで湧水が堰き止められ形成されています。
築山山水式庭園を有する水前寺成趣園は、陶淵明の「帰去来辞」が名の由来となるそうです。
「出水」「神水」水が豊富で清冽なことを現す地名が今に残っていて、一日の湧水量は40万トンに上ります。
現在も水道水、生活用水や農業用水としても利用されていて、長寿や健康を願う縁起物の水前寺もやしの栽培や、またスイゼンジノリ制裁に使用されています。水前寺成趣園内の「長寿の水」は昭和36年来、健康を願う地域住民等に毎朝の早朝水飲み会として飲用されているそうです。
水前寺地区からスタートする公園散策
「水前寺成趣園」で湧き出でる水は、江津湖へと向かって流れています。水前寺江津湖公園に注ぎ込む清らかな湧水を楽しめる、「水前寺成趣園」の出水神社を参拝し公園散策をスタート。出水神社
ご祭神/細川氏
住所/熊本市水前寺公園8番1号
アクセス/【市電】国府駅徒歩6分文化的雰囲気が漂う出水地区
川沿いの道を少し入ると「芭蕉園」があります。身の丈の3~4倍の芭蕉の葉が頭の上から垂れ下がる様子はまるでジャングルに迷い込んだ気分になります。スーラの絵のような水辺の風景がある上江津地区
それぞれ思いのままに、水辺のほとりを楽しむことができます。熊本市内外の多くの人たちがまず江津湖のイメージは、この風景では?江津湖らしい空間を、湖畔から眺めたり、ボートに乗って水面から体感し満喫してみてください。壮大な湖景観の下江津地区
ほとりには、熊本市動植物園も隣接しており、江津湖公園の歩道沿いには動植物園の南門が面しています。江津湖サイクリング用の自転車を無料で貸し出し(動植物園をご利用のお客様対象)もしてくれています。レジャーが楽しめる広木地区
芝生が広く見通しも利くので、小さなお子様連れのご家族のピクニックとして人気のエリアです。また、朝早くからウォーキングやランニングを楽しむ人も多く、熊本市郊外の中でも有数のレクリェーション空間として、幅広い世代から愛されている場です。アクセス/【市電】「八丁馬場」下車→徒歩3分
【バス】健軍・木山方面行き「八丁馬場」下車→徒歩3分
駐車場/あり
5位 「島原湧水群」 長崎県島原市
島原は古くから「水の都」と呼ばれ、市内のいたるところから、水が湧き出しています。
昭和56年(1981)、国土庁から「水緑都市モデル地区」に指定され続いて、水を生かしたまちづくりに優れた成果をあげていることが評価され、平成7年(1995)に同じく国土庁から「水の郷」に指定されています。そして昭和60年(1985)には、環境庁から「島原湧水群」が「日本名水百選」に選定されました。
選定の理由は、「市内各所に、湧水がみられ、それは、生活用水に利用され、また、古くからの水路等が残されて、水辺環境の整備が、行われている」ということでした。
武家屋敷水路は、杉谷の水源(熊野神社)まで約2キロメートルもあります。飲料水として、水奉行に見守られてきました。江戸時代の「御触類集」文化2年(1805)によると、「鉄砲町用水にて不浄成もの洗物致侯……」とあり鍋・釜を洗うと没収、水を汚すと罰金等と記されています。毎月1日・15日は、掃除をすることが大正年間まで続きました。
北の鉄砲町の水路に対して、南の農民のための水路として木場水道があります。これは島原大変後、中木場村の水源が枯れて村人が困ったので、庄屋と村人が水路を引いたものです。しかし、平成の噴火災害のために水源と水路が失われてしまいました。
古い記述によれば「寛政4年地変記」に「前山の北方、4月朔日埋没したる地に清水湧出し、また上の原の井戸は変後にわかに水あふれ、その近方はすべて数ヵ所より清水湧出した。島原町中にも万町、堀町、桜町、新町など各地湧水あり、上の原ならびに万町の水はこんこんとして絶えず、何れも数万人の用水に供するに足れり。」ということです。
各所の湧水は、約200年前の普賢岳の火山活動による眉山の大崩壊とともに、このときの大地変で地割れが生じて湧き出したそうです。市民の生活用水であり「水の都」を支える貴重な観光資源としてその評判を高めています。
住所/島原市
景観がすばらしい「名水」部門
1位 「安曇野わさび田湧水群」長野県安曇野市
2位 「大杉の清水」京都府舞鶴市
この名水が湧き出る大杉神社には、樹齢800年を超える大杉があります。その昔、大蛇が下りてきてこの清水を飲むと不思議な力が出て、三本の杉を巻き締め一本の大杉にしたと伝わります。
江戸時代の地方誌には「その水をなめると清く、かつ甘く銀水のごとく」と紹介されています。また、郷土史「朝来村史」では、「大杉水が稀有の良質水であることは、その水が日本一のわさびをはじめ、酒造のもと米や寿司米として有名な杉山米を産出することで証明されている」と伝えています。
水温は年間を通じて11.3度~11.7度。湧水量は一日2000トンになっています。
大杉の清水
住所/京都府舞鶴市字杉山363番地
アクセス/JR「東舞鶴駅」下車 杉山・登尾バス「杉山」下車
問い合わせ先/舞鶴市市民環境部環境対策室生活環境課0773-66-1064 FAX:0773-62-9891
3位 「かつらの千年水」兵庫県香美市
但馬高原植物園では日量5,000tの湧水が園内を流れます。
この流れは「大カツラ」の木が瀞川山から呼び寄せています。太古より営みを留めることのない千年水は、夏でも水温が10度前後と、ひんやり冷たく、多くの動植物をはぐくみ、地域の生活にも欠かせないものとなっています。極めて純度の高い軟水で、コーヒーや抹茶、野菜の煮炊きに良く、肌にやさしいため産湯などにも適していると言われています。
この名水「かつらの千年水」が、平成20年6月、環境省が選ぶ「平成の名水百選」に認定されました。和池の大カツラ付近(但馬植物園内)では、飲むことができるようコップも置かれています。
「和池の大カツラ」 カツラ科・カツラ属・兵庫県指定天然記念物
但馬高原植物園のシンボルは「和池の大カツラ」と呼ばれています。主幹は支幹の太さ約3m内外の樹叢10数本に囲まれ、樹冠幅は東西各10m、南側16m、北側10mの張り出しを誇ります。この大カツラの森が、高坂川の源流として流域の生活用や農業水源として重要な役割を果たしています。
4位 「菊池水源」熊本県菊池市
菊池渓谷は、菊池市街地から東へ約 17km、阿蘇外輪山の北西部の標高500m~800mの間に位置し、約1,193haの広大な面積をもつ”憩いの森”です。 菊池渓谷は、うっそうとした天然生広葉樹で覆われる間をぬって流れる淡水は、大小さまざまな瀬と渕と滝をつくり変化に富む渓流と、美しい森林とがおりなす絶景を見せてくれます。
天然クーラーとされ、夏の平均水温は13度と低い清流は避暑地として最適であり、四季を通うじて訪れる人々の心をなごませてくれるところです。
マイナスイオン満喫コース~往復2キロ約1時間
渓谷入り口駐車場からゲートへ
菊池渓谷の顔のような黎明の滝(れいめいのたき)
水が流れる大きな音に迫力があります。雨の少ない時期でも水音は途絶えず大きな音がするので会話もままならないほどの迫力です。紅葉ヶ瀬(もみじがせ)
紅葉が印象的な流れの場所です。夏場には苔が綺麗なポイントでもあります。苔もよく見ると面白い形をしています。竜ヶ渕・天狗滝
昔は木がうっそうと茂っておりまさに天狗が棲むにふさわしい景色でしたが、大雨のたびに崖が流され、今では明るい滝となり、橋の上からも滝が良く見通せます。四十三万滝
名前の由来は諸説あり、新聞社の景勝地募集したところ43万票獲得したという説や、一日に平均水量43万石もあったとの事からこの名前が付いたと言われています。広河原(ひろかわら)
名前の通り、広い河原です。夏になると、光のページェントがみられ、沢山のカメラマンが訪れます。光芒が出る広河原の景色を見た人はみな魅了されリピートするほどです。菊池渓谷
住所/熊本県菊池市原5026
問い合わせ先/0968-27-0210
5位 「轟渓流」長崎県諫早市
多良岳に水源にする「轟渓流」は、昭和26年に指定された多良岳県立公園の南東部に位置します。水量が豊富で奇岩に恵まれた大小30余りの滝がある県下有数の清流で、流れ落ちる「楊柳の滝」にかかる虹、落水の爆音とどろく「轟の滝」など名水の宝庫です。
日本自然百選 多良岳(昭和58年)、名水百選 轟峡(昭和60年)、水源の森百選 轟の森林(平成7年)に選ばれています。
場所/諫早市高来町善住寺大山1106-37
アクセス/長崎道諫早ICより車で約40分
問い合わせ先/諫早観光物産コンベンション協会0957‐22-8325
秘境地としてすばらしい「名水」部門
1位 「鳥川ホタルの里湧水群」愛知県岡崎市
2位 「鷹入の滝」島根県安来市
3位 「金峰山湧水群」熊本県熊本市
4位 「恵利原の水穴(天の岩戸)」三重県志摩市
5位 「剣山御神水」徳島県三好市
おいしさがすばらしい「名水」部門
1位 「おいしい秦野の水~丹沢の雫~ /秦野盆地湧水群」神奈川県秦野市
2位 「わかさ瓜割の水/瓜割の滝」 福井県若狭町
3位 「大雪旭岳源水/大雪旭岳源水」北海道東川町
4位 「月山自然水/月山山麓湧水群」山形県西川町
5位 「清流 長良川の雫/長良川(中流域)」岐阜県岐阜市
ゴールデンウィークから本番の夏にかけて名水巡り
清流は温度も低めで気持ちいい。
ゴールデンウィークの旅は決まりですね。
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